八十年戦争450周年企画 80 JAAR OORLOG
2018年は八十年戦争勃発の1568年から450年だったため、オランダでもいくつかイベントが行われました。イベントの多くが年の後半の秋以降(ものによっては年をまたいで)開催されたため、この記事は年が明けてから書いています。また、管理人は2018年は渡蘭できなかったため、残念ながら直接訪問できた特別展はありません。80 JAAR OORLOG
「80 JAAR OORLOG」は八十年戦争のこと。通常、「de tachtig jarige oorlog」と表記するので、オランダ語的に定冠詞や序数を抜いたのはどういうニュアンスなんでしょうね? 特設サイトやテレビ番組、特別展など横断的にこのモチーフが用いられました。
「80 JAAR OORLOG IN 80 PLEKKEN」は、八十年戦争にまつわる場所を80に厳選して紹介するサイトです(おそらく近いうちにサイト閉鎖されてしまいそうですが)。博物館、観光地、その他の3分類で、オランダ国内だけでなく、ドイツやベルギーも若干含まれています。講演会や演劇等も含む216のアクティビティが登録され、その時点で開催されている関連イベントをソートできました。スポンサーは、1つのテレビ局と4つの美術館です。
テレビシリーズ「80 JAAR OORLOG」は、11月以降週1回ペースで7回放映されました。1回45分のドキュメンタリー番組ですね。公式サイトで視聴可能。こちらも近いうちにサイト閉鎖の可能性があります。
ドルトレヒト博物館
特別展 ‘Werk, bid en bewonder, nieuwe kijk op kunst & calvinisme’ 作品、祈り、賞賛、芸術とカルヴィニズムの新たな視点
カルヴィニズムは本来地味で厳格で経済的。そんなカルヴィニズムと、豊かさと贅沢さを兼ね備えた芸術は並立するのか? その問いに、是との立場で臨む特別展。八十年戦争にこだわらず、17世紀から現代までを扱います。
むしろドルトレヒトという立地上、「八十年戦争450年」よりも「ドルトレヒト宗教会議400年」のほうに主眼があるよう。国立軍事博物館
特別展 ‘Willem’ ウィレム
若かりし頃のウィレムに焦点を当てた展示会。軍事博物館なので、「軍人としてのウィレム」に注力しているのがめずらしい。ウィレムの所有していた元帥杖など貴重なアイテムも出展され、その元帥杖をウィレム=アレキサンダー現国王が手にしているお宝写真も公開されていました。上記特設サイトは既に公式サイト内にリンクはなく、いずれ閉鎖と思われます。
プリンセンホフ美術館
特別展 ‘Willem van Oranje is hier!’ オランイェ公ウィレム参上!
こちらは逆に晩年のウィレムを扱った展示会。暗殺場所なので当然といえば当然かも…。建物自体がこの展示会のメインモチーフで、次に重要なテーマは、この場所を仕事場としていたウィレムが、ここで何を思索していたのかということ。肖像画だけではなく、ここで書かれた1581年の『弁明』を含む、ウィレムの書いたものなども展示されているようです。
アムステルダム国立博物館
特別展 ’80 Jaar Oorlog’ 八十年戦争
真打登場、大トリ、って感じの国立博物館の特別展です。もともと17世紀に強い博物館なので、おそらくこのテーマはお手の物。目玉展示品の数々は、いつも国立博物館に行った際に必ず観るおなじみのものばかり。とくに、ファン・デ・フェンネの『魂の救済』をキャッチ画像にしていて、展示室でも目立たせて展示しているようです。この『金獅子亭』も2018年にリニューアルしましたが、本館のキャッチ画像にこの『魂の救済』を選んだのは完全にこの展示会(の前宣伝)のパクリ…というより、「八十年戦争」を1枚で表す絵を選ぶとしたら、これ以外に考えられません。絵画内の実在の登場人物も多いですしね。
展示会図録は国立博物館のウェブショップから直接買えます。日本でいうところの図録とはちょっと違っていて、まずはふつうのペーパーバックのようななりをしています。図版より字の方が多いです。見たことのないブツもたくさんありますが、あの貯蔵量を誇る国立にも関わらず、余所からリースしているものもけっこうあります。なにより、図録の表紙のテル・ボルフ「騎馬の男」が、わざわざ海を越えたボストンから借りているものです。中の図版は、洋物の展示会図録としてはめずらしくオールカラーです。