国立博物館 Rijksmuseum アムステルダム
※ 管理人が直接訪れたのは、相当昔の改装前、改修中のためフィリップスウィングで展示されていた2009年4月、リニューアル1年後の2014年6月の3回です。
1895-1905年頃のアムステルダム国立博物館正面 In Wikimedia Commons
Rijksmuseum 公式サイト
オランダ政府観光局公式ページ アムステルダム国立美術館
一般: €12.50 毎日: 9:00-18:00 ※1/1休館 館内撮影厳禁
10年にわたる長期改修を経て2013年4月13日にいよいよ新装オープンしました! 再オープンに先駆けてリニューアルされた公式サイトは、無料アカウントをとると、お気に入りの所蔵品の画像をクリップしたりファイリングができたり(しかも公開・非公開が選べる)、その高解像度画像の無料ダウンロードも可との太っ腹。各所蔵品にはライセンスも明記されているので、パブリックドメイン画像はばんばんダウンロードもシェアも可能です。
レンブラント(1642)『夜警』 In Wikimedia Commons
なによりレンブラントの『夜警 Nachtwacht』が有名。フィリップスウイングでは2階、改修後は3階に『夜警』だけの専用コーナーがつくられました。でも、このような「マスターピース」たちに関してはいいのですが、新館のフロアマップはちょっと見づらく、有名じゃない所蔵品たちがどこに飾られているかは、サイト上からではよく分からなくなってしまいました。 現在、16-17世紀の展示品に関してはすべて3階に集められています。この階だけでもきちんとぜんぶ見ようと思ったら、半日~1日コースです。真ん中の通路「栄光のギャラリー」は『夜警』を中央に、両脇に有名な画家別のブースが連なっています。さらに3階の裏手左半分が共和国の歴史関連、裏手右半分がいわゆる黄金時代オランダ絵画。今回は2時間程度しか時間が取れなかったので左側だけ見ました。 VOCコーナーでは、日本製の長持がありました。源氏物語の図案が描かれているとのことでした。これ以外の日本の文物はすべてアジアパビリオンの側にあると思います。(やはり時間が無く観れていません。)
ヒレハールト「スヘルトヘンボス攻囲戦」 In Wikimedia Commons
↑これ、スヘルトヘンボスの北ブラバント博物館じゃなく、こっちにありました。思ったよりもサイズが小さかったうえに、家具(アマーリアが使っていたタンス)の上に掛けてあったので細かいところまではよくわからなかった。 フィリップスウィング時代は、入館してすぐのフロアが共和国歴史関連。みんなさっさとスルーする場所だったので、好きなだけこの一角に居ても邪魔にならずによかった。確かに、改修後と比べると公開品はだいぶ少なかったですが、それでも図録が「マスターピース」を謳うだけあって、普通の博物館としては充分な質・量を備えていました。 フィリップスウイング時代よりさらに前の旧館時代に行ったときは、地下にごちゃごちゃと無造作にいろいろな絵が飾ってある部屋(閉架倉庫公開してるってくらいの雰囲気)があり、そこに地味~な掘り出し物が多くて、小躍りしたのを覚えています。時代も変わったので、この規模の博物館ではもうあのような展示はしないでしょうね。 改修後の現在は、ハコも大きくなって開架での展示数もだいぶ多くなりました。が、展示方法としては整然としすぎていて、比較的無機質な博物館となった印象です。また、壁が白く明るい感じになっているので、好みも分かれるかも。個人的にはフィリップスウイング時代の薄暗い感じのほうが好ましかったです。
19世紀の内部写真 In Wikimedia Commons (Public domain)
上記の1885年頃の写真では、オランイェ家関連の肖像を並べている部屋の様子が写されています。マウリッツ(中央やや左の大きな縦長のもの)とフレデリク=ヘンドリク(その左下隣)が並んで掛けられていますね。
図録 マスターピース展 アムステルダム国立博物館(2003-2013)
レンブラント(1665-1669)「ユダヤの花嫁」 In Wikimedia Commons
Rijksmuseum Amsterdam the Masterpieces Guide
アムステルダム国立博物館で、2003年-2013年の本館改修時、フィリップスウイングで展示していた時に発売していたメインガイドです。(管理人が購入したのは英語版ですが、いちばん基本のガイドなので日本語版含めて各国語版があったはずです)。 2013年4月に本館が新装オープンし、メインガイドも「250 Highlights」に変更になりました。この新しいカタログも各国語版取り揃えており、管理人も手にとってぱらぱらと見ましたが、単に1ページ1点の画像が延々と続くだけでほとんど作品についての薀蓄はありません。ので買わずにきました。公式サイトで高解像度画像検索して、そこにある説明文読んだほうが良いです。 アムステルダム国立博物館は、旧館時代もフィリップスウイング時代も、入場してすぐの部屋が「共和国」に関する展示スペースで、残念ながら素通りされがちな部屋です。新館になってからは比較的目抜き通りにやってきましたが、それでも時間の制約上、逆サイドのほうを選ぶ人が多いでしょう。この記事ではそんな共和国コーナーの中から挙げていきます。リニューアルオープンののちも、ここにあるものはすべて開架で公開してあります。サイト内の他記事で使っている画像もたくさんあります。カタログページ順ではなく制作年順に並べ替えました。
ミーレフェルト(1613)「ナッサウ伯マウリッツの全身肖像画」 In Wikimedia Commons
マウリッツといえばコレ、というほどのおなじみのガーター版全身図。弟子を大勢抱えて大量生産の工房を運営するミーレフェルトですが、この絵に関しては本人が手がけたとのことなので、ミーレフェルト作品の中でも価格面でも最高値に近いもののはずです。左下にミーレフェルト直筆署名があります。
ファン・デ=フェンネ(1614)「魂の救済」 In Wikimedia Commons
ファン・デ=フェンネから2点。「十二年休戦条約」の寓意画です。左がプロテスタント側。マウリッツ、フレデリク=ヘンドリク兄弟の横には、英国王ジェームズ一世や、なぜかカトリックの故仏王アンリ四世と現仏王ルイ十三世もいます。おそらくデンマーク王クリスチャン四世もいる…と思います。ファン・デ=フェンネ自身もいちばん前の黒服の集団の中にいます。ひげのない若者がそれらしい。 右がカトリック側。アルプレヒト大公とイザベラ大公妃が真ん中あたり、スピノラ侯はその手前で横を向いている人物です(実物を間近で見てやっと特定できました)。教皇はさらに奥、枢機卿たち(赤い服の集団)が担いでいる輿の中にいるそうです。
ファン・デ=フェンネ(1618)「ファルケンブルフの馬市に行くマウリッツ公とフレデリク=ヘンドリク公」 In Wikimedia Commons
これも負けず劣らずこまこまとした絵画。マウリッツとフレデリク=ヘンドリクは中央の6頭立ての馬車に乗っていますがほとんどモブ状態です。馬車の手前にも、少なくとももう1人乗っているのがわかるので、誰か他のナッサウ伯でしょう。マウリッツがオランイェ公のタイトルを継いだ1618年の作。
ナッサウ・チュニックとグロティウスの本箱 In Wikimedia Commons (CC-BY-SA-3.0-2.5-2.0-1.0)
フレデリク=ヘンドリクの葬儀の際に、庶子フレデリクによって掲げられた紋章入りチュニック。その奥に写っているのは、1622年にグロティウスがルーフェスタイン城から脱獄したときの本箱(とされるもの)です。よくみると、壁にはファン・デ=フェンネの「魂の救済」と「馬市」が掛けてあるのが見えます。
ファン・デル・ヘルスト(1648)「ミュンスター和約の祝賀会」 In Wikimedia Commons
祝賀の宴会をしているアムステルダムの自警団のひとつ。右手前の杯(聖ゲオルギウスのモチーフ付)を持っているのが隊長、隊長と握手を交わしているのが副隊長だそう。もともと市民兵は治安維持と称した紳士クラブ的なものなので、彼らのうちのほとんどは実際に戦場には出たことがないものと思われます。
ファン・デーレン(1651)「1651年『大会議』時のビネンホフ『騎士の間』内部」 In Wikimedia Commons
これもサイト内に何度も登場させている絵のひとつ。ウィレム二世の死を受けて「オランイェ家排除条項」が決せられた会議ではありますが、天井から下がっているブルゴーニュ軍旗(1597年のトゥルンハウトの戦いでマウリッツの軍がスペイン軍から奪ってきたもの)との対比がちょっとシニカルな感。
ファン・デ=フェルデ(父)(1657)「テルヘイデ海戦(1653)」 In Wikimedia Commons
マールテン・トロンプ提督が戦死した戦い。のちに息子のコルネリス・トロンプが依頼した絵画です。カンバスに油彩ではなくインクで描かれています。左のいちばん手前に描かれている小船では、ファン・デ=フェルデ自身がスケッチしている姿があるそうですが…。
アクセス
アムステルダム中央駅からトラム2番か5番で10-15分ほど。直線距離2kmほどなので歩けなくもないですが、「I Amsterdamシティカード」を持っているなら乗ってしまったほうがいいでしょう。 ミュージアムショップは2ヶ所。フィリップスウイング時代に作られた外の公園にあるショップは健在で、隣のゴッホ美術館との共同ミュージアムショップなので、ゴッホ美術館のおみやげも一緒に買えます。そのほかにミュージアムショップ、カフェとも新館内に新設されました。チケットが無くてもここには入れるようです。ミュージアムショップは、グッズと書籍と2つの店舗に分かれていて、本をゆっくり探せるのは嬉しい。