オランダ・フランドル絵画の至宝 マウリッツハイス美術館展(2012)

Johannes Vermeer - Girl with a Pearl Earring - WGA24666

フェルメール『真珠の耳飾りの少女』 In Wikimedia Commons

東京都美術館ホームページ マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝

  • 開催年月日: 2012/6/30-9/17, 9/29-2013/1/6
  • 開催地: 東京都美術館、神戸市立博物館
  • 主催: 東京都美術館、朝日新聞社、フジテレビジョンほか
  • 後援: オランダ王国大使館ほか

鑑賞メモ

Peter Paul Rubens 167

ルーベンス「聖母被昇天(下絵)」(1620-22) In Wikimedia Commons
『フランダースの犬』で有名なアレの下絵です。

マウリッツハイス王立美術館改修工事に伴い、東京と神戸で開催された特別展です。 『ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年』と同時期開催でした。フェルメールの「耳飾り」「首飾り」の対比と共に、主催・後援ともなにかとライバル心を煽るような構成になっていました。 展示構成は下記のとおり。上掲のルーベンスやフランス・ハルスほか、レンブラントが6点など錚々たる顔ぶれです。

  1. 第1章:マウリッツハイス美術館の歴史
  2. 第2章:風景画
  3. 第3章:歴史画(物語画)
  4. 第4章:肖像画
  5. 第5章:静物画
  6. 第6章:風俗画

これでもかというくらい『真珠の耳飾りの少女』を前面に押し出してメディア露出していたので、何か(ラッピングとレインとか)で見た人も多いかもしれません。逆に他の作品がまったくといっていいほどクローズアップされていないので、良いのか悪いのか…少なくとも、他の作品のグッズはあまり種類が多くありませんでした。 それに反して、図録はすばらしいの一言です。確かに、フェルメールに特化した記事が1本だけ載せてありますが、それぞれの作品についての解説はいずれも充分な分量と内容で、えこひいき無し。展示会の宣伝広告手法に食傷気味な人も溜飲が下がる思いがするのでは。ヨハン=マウリッツって誰?というのが、日本語でこんなに詳しく書いてあってちょっと嬉しい。

John Maurice, Prince of Nassau-Siegen

After Bartholomeus Eggers(1669) In Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

個人的には、この展示会で観に行ったのは、そのヨハン=マウリッツの彫像と、その横のフレデリク=ヘンドリクの肖像2点のみ。展示番号が1番と2番で、どちらも入口すぐに並んでいて、大抵の人がスルー気味なので、あの混雑でも人の邪魔をせずに長時間観れました。ジーゲンの墓所にあるのが本体で、マウリッツハイスにある今回来日のこれはレプリカです。 一部物議を醸している(?)このヨハン=マウリッツさんの肩の象飾りですが、あれも象騎士団の騎士団章(右腰に提げてある象)といっしょにデンマーク国王フレゼリク三世から贈られたもののようです(図録 p.36.)。ちなみに、図録では触れていなかった盾とペンダントの十字飾りはヨハネ騎士団の騎士団章。複数の騎士団に所属しているというのは、当時でも比較的めずらしいのです。

Jan Brueghel - Een vaas met bloemen

ヤン・ブリューゲル(父)(1610-1615)「万暦染付の花瓶に生けた花」 In Wikimedia Commons

もうちょっと後の時代にはチューリップも陶器もよくあるモチーフですが、1615年あたりではまだ新しいジャンル。忘れな草のアクセントがいい。個人的には、昆虫たちが我慢できるレベルなのも嬉しい。

Peter Paul Rubens - Portret van Michiel Ophovius (1570-1637) bisschop van s-Hertogenbosch

ルーベンス(1615-1617)「ミハエル・オフォヴィウスの肖像」 In Wikimedia Commons

ルーベンスの友人でドミニコ会修道士のオフォヴィウス。のちスヘルトヘンボス司教。虹彩異色症(左右の目の色が違う)だったらしいとのことで、絵画にもいちおう反映されているようですが、光の当たり方…といわれればそのように見えるともいえます。

A hunting-party near the Hofvijver in The Hague, viewed from the Plaats, by -Gerrit Berckheyde

ヘリット・ベルクヘイデ(1690頃)「狩りに向かう貴族たちのいるホフフェイファーのほとり」 In Wikimedia Commons

右の池に沿った建物群がビネンホフ、そのいちばん奥がマウリッツハイスです。右のいちばん手前の門は現在監獄博物館となっているところ。ヤンとコルネリスのデ・ウィット兄弟は、ここに収監され、この門から出てきたところを虐殺されました。黄色に赤のライオンの紋章はホラント州の紋章。

 

展示会限定特別企画品たち。これでナノブロックを知った人も多いはず。